■開催日

平成27年12月13日@秋葉原UDX

■動画

 

■講師

東京大学 大気海洋研究所 准教授
芳村(よしむら) 圭(けい)先生

 

■概要

芳村先生は、地球上の水循環のメカニズムについて、様々な角度から研究しています。今回の講義では、水の存在の仕方、水の循環、バーチャルウォータなどを学び、私たちの生活とは切り離せない水について、グローバルな視点も交えて考えました。

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水はどこに、どれくらいあるのでしょうか?

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地球上のほとんどの水は、海の水(97.5%)です。あとは、淡水(2.5%)ですが、そのうち、氷河など(1.7%)と地下水(0.8%)がほとんどを占めていて、湖や河川はわずかです(0.01%)。私たちの生活には、淡水がとても重要です。

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水は、液体、気体、固体とすがたをかえながら循環しています(水の循環)。水は海から蒸発して水蒸気となり、陸の上で冷やされると雲になり、雲が発達して雨になります。雨は地面にしみこんだり、湖や川に落ちたりします。

地面にしみこんだ水は、地下水になり、川になり、海にもどります。海の水も循環しています。

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昔、地球は「ゆきだまちきゅう」だったという説があります。南極では、80万年前の氷が残っていて、昔の気候をしることができます。地球は、1万年前ごろに気候が落ち着き、今のように人間が住むことができる場所になりました。

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ペットボトルの中で雲を作る実験

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牛丼1杯、実は2トンもの水をつかっています。牛肉になるまでに牛を育てるための水、玉ねぎを育てるための水、ごはんになるまでの水などを合わせた量となります。人間が使っているほとんどの水は「農業」で使われます。また、GDPの変化に伴って、生活が豊かになると水が多く使われる傾向にあります。

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地球の気候の変化に伴い、雨の降り方の変化が変わってきています。多く降るところではより多く、少ないところではより少なくなってきています。雨は多すぎても少なすぎても私たち人間が使える水がなくなります。また、2100年までの地球の気温を予測すると、今よりだいぶ暑くなり、このことでも水が少なくなります。人口増加を考えると、水不足は大きな問題となります。

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どうすればよいか。これ以上温暖化が進まないようにすること(緩和)。そして気候の変化に人間が柔軟に対応すること(適応)、だと考えています。

 

■参加者

図2

 

 

■事務局から

2015年冬のプログラム(4回シリーズ)のテーマは、「地球とわたしたち」。

第2回目は、私たちの身近にある「水」を、地球の視点から学びました。

私たちが水といえば思い浮かべる「湖や川」の水は、実は水の全体の0.01%にすぎないのだそうです。地球の大きさ、見えないことの多さを感じた瞬間となりました。

また、地球の歴史から観察すると、地球は昔、スノーボールアース(ゆきだま地球)の時期があったそうです。昔の氷を調べることによって、地球の気候の変化などもわかってきているとのこと。

またこのまま温暖化が進めば、2100年には地球表面温度が2、3度上昇してしまうシミュレーションなども見せていただきました。未来の気温上昇への対応として「緩和」と「適応」が大切と述べられました。

最後に芳村先生は、「こんな研究をしています。みなさんとも一緒に研究ができたらうれしいです。とてもたのしいですよ」と述べられました。